Netflix韓国ドラマ『なりすましの鼠』は、「自分の人生を他人に丸ごと奪われる」という恐怖から始まります。
主人公の小説家チェ・ムンジェは、ある日突然、スマートフォンの指紋認証も銀行口座も使えなくなり、社会の側から「あなたはチェ・ムンジェではない」と扱われるようになります。
しかも、すでに別の男がムンジェと同じ顔で、彼の名前・財産・仕事・家まで奪って生活していました。
では、この“ネズミ”とは誰だったのでしょうか。
最終回まで見た結論を先にまとめます。
- Netflix版の“ネズミ”の正体はソ・ユミン
- ユミンは大学時代からムンジェと深い因縁があった
- ミニョンと本当に交際していたのはユミン
- ムンジェはユミンの文章・経験・恋愛まで自分の物語として利用した
- 現在の小説家ムンジェにも、もともとパク・チャヌという別の名前があった
- パク・スニョンは現在のムンジェより先に「チェ・ムンジェ」という名前を与えられていた人物
- 最終回でユミンは海へ転落し、遺体は見つからない
- 最後に覗き穴から見えるユミンは、実際に訪ねてきた本人ではなくムンジェの罪悪感と妄想を象徴する姿と考えるのが自然
つまり『なりすましの鼠』は、最後まで見ると単純な「本物のムンジェVS偽物のネズミ」という物語ではありません。
人生を奪われた被害者だと思っていたムンジェ自身も、それ以前に別の人間の名前、文章、記憶、そして人生を奪っていたことが分かります。
誰が本物で、誰が偽物なのか。
第10話でその境界そのものが崩れることこそ、この作品最大の仕掛けです。
※以下はNetflix『なりすましの鼠』第10話・最終回および原作ウェブトゥーンの重大なネタバレを含みます。
- Netflix『なりすましの鼠』ネズミの正体はソ・ユミン
- ユミンはなぜムンジェの人生を奪った?復讐の本当の理由
- ムンジェの記憶はなぜ間違っていた?回想シーンの真相
- 本物のチェ・ムンジェは誰?パク・スニョンとパク・チャヌの関係
- 第10話の結末|ムンジェとユミンは船上でどうなった?
- ソ・ユミンは死んだ?生きてる?
- 最後にドアの外に見えたユミンは本物?ラストシーンの意味
- 『なりすましの鼠 下巻』の原稿には何が書いてあった?
- 結局ムンジェは最後どうなる?勝ったのに救われない理由
- ノジャは最後に死ぬ?Netflix版では生存
- パク・スニョンは最後どうなる?
- Netflix版と原作ウェブトゥーンの違い
- 原作の「ネズミの家」とは?Netflix版ではどう変わった?
- 原作のネズミは最後どうなる?
- 原作のノジャは死亡する
- 原作のムンジェは最後どうなる?
- 「爪を食べたネズミ」の昔話とNetflix版の意味
- 英題『Mousetrap』=ネズミ捕りの意味
- 結局「本物」と「偽物」は誰だったのか?
- Netflix『なりすましの鼠』公式予告
- 『なりすましの鼠』についてよくある質問
- Netflix韓国サスペンス・ミステリードラマをもっと見る
- まとめ|ネズミの正体はユミン、でも「本物のムンジェ」もまた偽物だった
Netflix『なりすましの鼠』ネズミの正体はソ・ユミン
ムンジェの顔、名前、財産、仕事、家まで奪った“ネズミ”の正体は、ソ・ユミンです。
ユミンは突然現れた身元乗っ取り犯ではありません。
ムンジェの大学時代を知り、彼に人生を大きく狂わされた人物でした。
物語中盤では「ユミンはすでに死んでいる」と思わせる情報も出てきます。
しかし実際にはユミンは生きており、整形によってムンジェと同じ顔を手に入れ、“チェ・ムンジェ”として社会の中へ入り込んでいました。
指紋、口座、財産、仕事、人間関係まで奪う綿密な計画は、単純な金銭目的ではありません。
ムンジェに、自分がかつて味わった「人生を他人に奪われる感覚」をそのまま返すための復讐だったのです。
ユミンはなぜムンジェの人生を奪った?復讐の本当の理由
最終回で最も大きく印象が反転するのが、ムンジェとユミンの大学時代です。
それまでムンジェ自身が語ってきた過去では、ムンジェが被害者で、ユミンが嫉妬深い人物だったように描かれていました。
しかし、その記憶自体が正しくありませんでした。
ミニョンの本当の恋人はユミンだった
実際にミニョンと恋愛関係にあったのは、ムンジェではなくユミンです。
ムンジェはユミンとミニョンの関係に嫉妬し、二人の立場を自分に都合よく入れ替えて記憶し、さらに小説の中でも事実を作り替えていました。
ムンジェは校内掲示板などを使ってミニョンの私生活を題材にした文章を広め、事実と虚構を混ぜた物語によって彼女を追い詰めます。
その結果、ミニョンは精神的に深く傷つき、最終的には自ら命を絶ちました。
ムンジェはユミンの文章まで盗んだ
さらにムンジェが奪ったのは恋愛だけではありません。
ユミンが長い時間をかけて書いていた文章や創作ノートを盗み、それを自分の作品として発表します。
そして「天才作家チェ・ムンジェ」として成功していきました。
つまりムンジェは、
- ユミンの文章
- ユミンの経験
- ユミンとミニョンの恋愛
- ユミンが持っていた作家としての才能
を、自分の人生の材料として取り込んでいたことになります。
だからユミンがムンジェの顔へ整形し、社会的な「チェ・ムンジェ」を丸ごと奪った行動は、ムンジェの過去をそのまま反転させた復讐です。
先に他人の人生を奪ったのは誰だったのか。
ここで視聴者が第1話から信じてきた「被害者ムンジェ」という構図が崩れます。
ムンジェの記憶はなぜ間違っていた?回想シーンの真相
『なりすましの鼠』を難解にしている理由の一つが、ムンジェ自身の回想が必ずしも事実ではないことです。
ムンジェは最初から意図的に視聴者へ嘘をついていたというより、本人自身が自分に都合よく作り替えられた過去を信じ込んでいたと見る方が重要です。
第10話では、ムンジェが信じていた過去に、
- 精神安定剤などの影響
- 長年抱えてきた罪悪感
- ユミンから盗んだ小説の内容
- 自分自身が作り続けてきた虚構
が混ざっていたことが分かります。
だから回想の中では、自分とユミンの立場まで反転していました。
これはミステリーでよく使われる「信頼できない語り手」の仕掛けでもあります。
視聴者はムンジェの目を通して作品を見ているため、ムンジェが自分を被害者だと信じれば、視聴者も自然にその物語を信じてしまいます。
ところが最終回では、その視点そのものが崩されます。
本物のチェ・ムンジェは誰?パク・スニョンとパク・チャヌの関係
ユミンの正体以上に混乱しやすいのが、「そもそもチェ・ムンジェとは誰なのか」という問題です。
最終回まで見ると、この作品には実質的に複数の「ムンジェ」が存在します。
| 人物 | 「チェ・ムンジェ」との関係 |
|---|---|
| パク・スニョン | 幼いころ養子として迎えられ、先に「チェ・ムンジェ」という名前を与えられていた人物 |
| 現在の小説家ムンジェ | パク・チャヌという過去の名前を持ち、その後「チェ・ムンジェ」として生きる |
| ソ・ユミン | 現在のムンジェと同じ顔になり、社会的な「チェ・ムンジェ」を奪う |
最初に「チェ・ムンジェ」だったのはスニョン
刑事パク・スニョンは児童養護施設で育ち、その後ムンジェの家へ養子として迎えられました。
そこで与えられていた名前が「チェ・ムンジェ」です。
しかし家に実子が生まれたことでスニョンは施設へ戻され、その名前からも切り離されます。
そして赤ん坊だった弟側が「チェ・ムンジェ」として生きていくことになります。
現在の小説家ムンジェにはパク・チャヌという過去の名前がありました。
つまり主人公はユミンに身分を奪われる以前から、すでに別の人物が持っていた名前を受け継いで生きていたことになります。
スニョンとムンジェは実の兄弟なの?
二人は単純な血縁上の実兄弟ではありません。
スニョンは養子として同じ家族の中にいた人物であり、現在のムンジェはその家に後から生まれた実子です。
そのため作品では「兄弟」として結び付けられますが、二人の関係の核心は血縁以上に、同じ「チェ・ムンジェ」という名前を別々の時期に持っていたことにあります。
このドラマには「3人のムンジェ」がいる
流れを単純化すると、
スニョン
↓
「チェ・ムンジェ」という名前を失う
↓
パク・チャヌが「チェ・ムンジェ」として生きる
↓
ソ・ユミンが現在のチェ・ムンジェを奪う
という三重構造です。
ここまで分かると、『なりすましの鼠』が単なる身分乗っ取りドラマではないことが見えてきます。
最初から最後まで、誰かが誰かの「名前」「人生」「物語」を受け継ぎ、奪い、書き換えているのです。
第10話の結末|ムンジェとユミンは船上でどうなった?
最終決戦の舞台は、済州島へ向かうフェリーです。
ユミンはムンジェとの過去の真相を明らかにし、ムンジェ自身もまた「他人の人生を奪ってきたネズミ」だったことを突き付けます。
二人は船内で激しく争い、最終的にユミンが海へ転落します。
しかし遺体は見つかりません。
スニョンはムンジェがユミンを殺したと気づいている
船を降りてきた男はムンジェとユミンのどちらなのか。
同じ顔をしているため、外見だけでは判断できません。
しかしスニョンは、服のボタンの留め方など細かな癖から、目の前にいるのが小説家ムンジェだと見抜きます。
さらにスニョンは、ムンジェが語る船上での出来事にも疑いを持っています。
それでもユミンの遺体も決定的な証拠もないため、ムンジェを殺人犯として追及することはできません。
ムンジェは社会的には再び「本物のチェ・ムンジェ」へ戻ることに成功します。
しかし、それはハッピーエンドではありません。
ソ・ユミンは死んだ?生きてる?
最終回ではユミンが海へ落ち、その後戻ってきません。
物語上は死亡したと考えるのが最も自然です。
一方で、遺体が発見されていないため、「ユミンは本当に死んだのか?」という余地自体は意図的に残されています。
ただし、最後にもう一度ユミンの顔が登場することを、そのまま「ユミン生存の証拠」と考える必要はありません。
理由はラストシーンにあります。
最後にドアの外に見えたユミンは本物?ラストシーンの意味
ラストでムンジェの部屋のドアを激しく叩く人物が現れます。
実際に外から聞こえてくる声は、ムンジェを追ってきたスンギュです。
ところが怯えたムンジェがナイフを持ち、ドアの覗き穴を見ると、そこにはユミンの顔が見えます。
このユミンは、実際にドアの外へ戻ってきたユミンではなく、ムンジェの罪悪感・被害妄想・恐怖が見せている幻覚と考えるのが最も自然です。
なぜなら、ムンジェは社会的にはすべてを取り戻したにもかかわらず、精神的には何一つ元へ戻っていないからです。
家を取り戻した。
名前も取り戻した。
財産も取り戻した。
それでも「自分が本物である」という確信だけは、もう取り戻せません。
ユミンが死んだとしても、ユミンによって暴かれた過去は消えない。
だから最後までユミンの顔に怯えることになります。
『なりすましの鼠 下巻』の原稿には何が書いてあった?
最終回でもう一つ非常に重要なのが、ユミンが残した『なりすましの鼠』下巻の原稿です。
小説の続きを入稿しなければならなくなったムンジェは、ユミンが暮らしていた部屋から完成済みの下巻を見つけます。
しかし内容は、ムンジェにとって最悪のものでした。
そこには、
- ユミンによる身分乗っ取り
- ムンジェの過去
- ユミン作品の盗作
- ミニョンを追い詰めた行動
- ムンジェ自身もまた他人の人生を奪ってきたこと
- 最終的にユミンを殺したこと
まで含む、ムンジェ自身の自白小説とも言える内容が書かれていました。
出版すればムンジェ自身が破滅する
そのまま出版すれば、作家チェ・ムンジェの人生は終わります。
そこでムンジェは原稿を書き換えようとします。
ユミンを狂った犯罪者として描き、自分が被害者だったという物語へ戻そうとするのです。
ところが、ここで決定的な問題が起きます。
ムンジェは自分一人では小説を書けない。
これまで彼の作家人生を支えていたものがユミンから奪った文章だったことを、最後の原稿が改めて突き付けます。
ユミンが最後に仕掛けた本当の罠は、ムンジェを殺すことではなかったとも考えられます。
「本当にお前が天才作家チェ・ムンジェなら、この続きを自分で書いてみろ」
という逃げ場のない問いを残したのです。
結局ムンジェは最後どうなる?勝ったのに救われない理由
表面的に見れば、最後に勝ったのはムンジェです。
- ユミンはいなくなった
- 名前を取り戻した
- 家へ戻った
- 社会的な身分も回復した
- 殺人についても決定的証拠がない
ところがムンジェは、物語開始時よりもさらに孤独になっています。
最大の理由は、彼が守ろうとしていた「作家チェ・ムンジェ」という存在自体が虚構だったからです。
社会的な本人確認は取り戻せても、作家としての才能が自分のものだったことは証明できません。
むしろユミンの死によって、もう文章を供給してくれる人物すらいなくなりました。
ムンジェは最後に自分で作った嘘の中へ閉じ込められます。
ノジャは最後に死ぬ?Netflix版では生存
原作とNetflix版で大きく違う人物がノジャです。
Netflix版のノジャ/キム・ヨングンは、スンギュとの激しい戦いを生き延びます。
ただし右腕には大きな後遺症が残ります。
その後、ムンジェは自分が騙した金を返そうとしますが、ノジャは受け取りません。
ノジャ自身も、その金が暴力と犯罪の中から生まれたものであることを理解しているからです。
そしてムンジェに「本物らしく生きろ」という意味の言葉を残し、故郷へ戻って新しい人生を始めます。
原作ではノジャが死亡するため、ここはNetflix版のかなり大きな改変です。
パク・スニョンは最後どうなる?
スニョンもまた、自分の過去を取り戻した人物です。
彼自身がかつて「チェ・ムンジェ」だったことを思い出し、現在のムンジェとの関係も知ります。
ただしスニョンは、過去を知ったあともそこへ閉じこもることを選びません。
離婚調停中だった妻との関係を見直し、自分が夫・父親として逃げていたことを認め、家族ともう一度向き合おうとします。
ここはムンジェと対照的です。
過去を知ったスニョンは前へ進もうとする。
過去を隠そうとするムンジェは再び部屋へ閉じこもる。
同じ「名前を失った人物」でも、最後の選択は正反対です。
Netflix版と原作ウェブトゥーンの違い
『なりすましの鼠』には、ルドビコによる完結済み韓国ウェブトゥーン『들쥐(Field Mouse)』という原作があります。
Netflix版は基本設定を引き継ぎつつ、後半の人物関係と結末をかなり大胆に再構築しています。
| ポイント | 原作ウェブトゥーン | Netflix版 |
|---|---|---|
| ネズミ | 個人情報を調べ、ムンジェの人生を奪った人物 | ソ・ユミンという明確な過去と復讐理由を追加 |
| ネズミの動機 | 身分・人生・社会制度そのものへの問題提起が強い | ムンジェに人生を奪われたことへの個人的復讐を強化 |
| ミニョン | Netflix版ほど物語の核心ではない | ユミンとムンジェを結ぶ最大の人物 |
| ムンジェの罪 | 盗作などを抱える | ユミンの文章・経験・恋愛まで奪った過去を具体化 |
| スニョン | Netflix版ほど中心ではない | 先に「チェ・ムンジェ」という名前を持っていた人物という大きな反転を追加 |
| ノジャ | 終盤に銃撃の傷で死亡 | 生存。右腕に後遺症を残しながら人生をやり直す |
| ネズミの最後 | 遊園地でムンジェに撃たれ死亡 | フェリーでムンジェと争い、海へ転落。遺体は未発見 |
| ムンジェの最後 | 盗作を認め、新作『存在しない人々』を書き始める | 過去を隠そうとし、自分では文章を書けず、再び妄想と恐怖へ閉じ込められる |
Netflix版は原作よりも、
「人生を奪われた人間が、実は先に別の人間の人生を奪っていた」
という反転を強烈にしています。
原作の「ネズミの家」とは?Netflix版ではどう変わった?
原作後半には「ネズミの家(들쥐의 집)」と呼ばれる組織が登場します。
ネズミの家では、社会的な身分を失った人間や「存在しない人間」へ、別の人間から奪った名前や人生を与える仕組みが作られていました。
考え方だけを見れば、社会からこぼれ落ちた人を救おうとしているようにも見えます。
しかし実際に行っているのは、
- 他人の個人情報を奪う
- 元の人物を排除する
- 名前・財産・社会的地位を移す
- 殺人まで正当化する
という巨大な犯罪です。
原作ではこの組織が、「社会が本人だと認めるものは何なのか」というテーマをより大きな社会問題へ広げます。
Netflix版にも「身分洗浄」という犯罪世界は登場しますが、原作のネズミの家をそのまま物語の中心に置くのではなく、ユミンとムンジェの個人的な復讐へ重点を移しています。
原作のネズミは最後どうなる?
原作のネズミとNetflix版のソ・ユミンは、同じ結末ではありません。
原作終盤では、ムンジェとネズミが遊園地で最後の対決を迎えます。
ネズミはムンジェに撃たれ、最終的に死亡します。
しかもネズミ自身は法律上すでに死亡したことになっている人物で、自分自身の身分を持っていません。
他人へ新しい人生を与えてきた人物が、最後には自分自身の名前すら証明できないまま死ぬ。
原作らしい非常に皮肉な結末です。
原作のノジャは死亡する
Netflix版では生き延びたノジャですが、原作では最後まで生き残りません。
事件終盤で銃撃を受け、その傷が原因となって死亡します。
そのため、
原作=ノジャ死亡
Netflix版=ノジャ生存
と明確に分けて考える必要があります。
原作のムンジェは最後どうなる?
原作のムンジェもネズミとの最終対決を生き延びます。
しかしNetflix版とは違い、原作のムンジェは過去の盗作を認めます。
そして盗作によって得てきた利益を返し、新たな作品を書き始めます。
その作品が、
『없는 사람들』=「存在しない人々」
です。
原作では、名前や身分を持たず社会から消えていった人々を作品にすることで、ムンジェ自身も過去と向き合おうとします。
一方Netflix版では、ムンジェは最後まで自分の過去を隠そうとします。
この違いによって、Netflix版の方がかなりダークな結末になっています。
2026年8月31日時点で、Amazon.co.jpでは原作『들쥐』の日本語Kindle版・日本語単行本の正規商品ページを確認できていないため、Amazonアソシエイトリンクは設置していません。
「爪を食べたネズミ」の昔話とNetflix版の意味
『なりすましの鼠』のモチーフになっているのが、韓国に伝わる「人間の爪を食べたネズミ」の昔話です。
基本的な内容は、
人間が捨てた爪をネズミが食べると、その人間と同じ姿になって人生を奪う。
というもの。
Netflix版を最終回まで見ると、この昔話がさらに二重の意味を持っているように見えます。
表面上の“ネズミ”はもちろんユミンです。
ユミンはムンジェと同じ顔になり、彼の人生を食べるように奪います。
しかし過去へさかのぼると、ムンジェもまた、
- ユミンの文章を奪い
- ユミンの経験を奪い
- ユミンの恋愛を自分の物語へ取り込み
- 別の人物が持っていた「チェ・ムンジェ」という名前で生きている
人物でした。
そう考えると、最初に「他人を食べて自分になったネズミ」はムンジェ自身だったとも解釈できます。
英題『Mousetrap』=ネズミ捕りの意味
英題は『Mousetrap』。
直訳すれば「ネズミ捕り」「ネズミ用の罠」です。
序盤では、ユミンがムンジェへ仕掛けた巨大な罠を意味するように見えます。
名前を奪い、銀行口座を奪い、本人確認を使えなくし、社会全体に「お前の方が偽物だ」と認識させる。
しかし最終回まで見ると意味が反転します。
ムンジェを本当に捕まえたのはユミンだけではありません。
盗作、嫉妬、奪った名前、書き換えた記憶、そして自分を被害者だと思い続けた嘘。
それらを積み重ねた結果、自分自身が逃げられない罠を作っていました。
最後にムンジェが再び部屋へ閉じこもり、存在しないユミンの姿にまで怯えるのは、彼自身が「Mousetrap」の中へ閉じ込められたことを示すラストと考えられます。
結局「本物」と「偽物」は誰だったのか?
法律上、物語冒頭のチェ・ムンジェは本人です。
ユミンは他人の顔と身分を奪った“ネズミ”です。
ここだけなら答えは簡単です。
しかし作品は最終回で、より厄介な問いへ変わります。
スニョンは「チェ・ムンジェ」という名前を失いました。
ユミンは自分の文章と恋愛と作家としての人生を失いました。
ムンジェはユミンに顔・財産・社会的身分を奪われました。
そしてユミンは最後に自分自身の命まで失います。
つまり全員が、誰かから何かを奪われ、また別の誰かから何かを奪っています。
だからNetflix公式が最終話で投げかける、
「彼は被害者なのか、それとも加害者なのか」
という問いこそが作品の答えです。
ユミンが“ネズミ”であることは間違いありません。
しかし、他人の人生や文章を自分のものにしてきたムンジェもまた、別の意味では“ネズミ”でした。
本作は最後に、
「偽物を倒せば、本物になれるのか?」
という問いを視聴者へ残しています。
Netflix『なりすましの鼠』公式予告
Netflix公式予告では、指紋認証が突然使えなくなり、自分の人生を奪われていくムンジェの恐怖から、“ネズミ”を追う追跡劇まで確認できます。
『なりすましの鼠』についてよくある質問
ネズミの正体は誰?
Netflix版の“ネズミ”の正体はソ・ユミンです。大学時代にムンジェと関係があり、ムンジェに人生と文章を奪われたことへの復讐として、ムンジェと同じ顔・身分を手に入れました。
ソ・ユミンは最後に死んだ?
フェリーでムンジェと争った末に海へ転落します。物語上は死亡したと考えるのが自然ですが、遺体は発見されていないため明確な死亡確認は描かれていません。
最後にドアの外にいたユミンは生きていた?
実際にドアを叩いている人物はスンギュです。覗き穴越しに見えるユミンは、ムンジェの罪悪感や妄想を表す幻覚と考えるのが自然です。
本物のチェ・ムンジェは誰?
単純に一人だけを「本物」と決められないのが作品の仕掛けです。スニョンが幼いころ先にチェ・ムンジェという名前を与えられ、現在の小説家にはパク・チャヌという過去の名前があります。その後、ユミンが社会的なチェ・ムンジェを奪います。
パク・スニョンとムンジェは兄弟?
スニョンは養子としてムンジェ家にいた人物で、現在のムンジェは後に生まれた実子です。同じ家庭で「チェ・ムンジェ」という名前を共有した過去を持つ、義兄弟的な関係です。
ミニョンの本当の恋人は誰?
本当にミニョンと交際していたのはソ・ユミンです。ムンジェが信じていた回想では関係が逆転していました。
ムンジェはユミンの小説を盗作した?
はい。ユミンが書いていた創作ノートを奪い、自分の作品として利用したことが最終盤で明らかになります。
Netflix版のノジャは死ぬ?
死にません。スンギュとの戦いを生き延びますが、右腕に大きな後遺症が残ります。原作では死亡するため、大きな変更点です。
原作ウェブトゥーンも同じ結末?
違います。原作ではネズミは遊園地でムンジェに撃たれて死亡し、ノジャも死亡。ムンジェは盗作を認めて『存在しない人々』を書き始めます。
原作ウェブトゥーンはAmazonで買える?
2026年8月31日時点で、日本Amazonで正規の日本語Kindle版・日本語単行本は確認できません。原作は韓国のカカオウェブトゥーン公式ページで確認できます。
『なりすましの鼠』は全何話?
Netflix版は全10話です。2026年8月28日から全話配信されています。
Netflix韓国サスペンス・ミステリードラマをもっと見る
『なりすましの鼠』のように、犯人や正体、どんでん返し、最終回まで楽しめる韓国作品を探している方は、Netflix韓国サスペンス・ミステリードラマのおすすめランキングも参考にしてください。
まとめ|ネズミの正体はユミン、でも「本物のムンジェ」もまた偽物だった
Netflix『なりすましの鼠』で、ムンジェの人生を奪った“ネズミ”の正体はソ・ユミンでした。
しかしユミンの復讐には理由があります。
ムンジェは大学時代にユミンの文章を盗み、ミニョンとの関係まで自分の物語へ書き換え、作家チェ・ムンジェとして成功していました。
さらに「チェ・ムンジェ」という名前そのものも、かつてパク・スニョンが持っていた名前でした。
つまり物語は、
ユミンがムンジェの人生を奪った
だけでは終わりません。
ムンジェもまた、ずっと他人の名前・文章・人生を奪って生きていた。
この反転こそが最終回最大の答えです。
ユミンは海へ消え、ムンジェは名前も家も取り戻します。
それでも自分では小説を書けず、最後には存在しないユミンの姿に怯えながら再び部屋へ閉じこもっていきます。
社会的には「本物」に戻ったのに、自分自身ではもう本物だと信じられない。
だから『なりすましの鼠』の本当の恐怖は、他人に身分を盗まれることだけではありません。
自分が本物だと思っていた人生そのものが、最初から誰かから奪ったものだったと気づくこと。
そして、そこから逃げようとするほど自分で作った“Mousetrap”へ深くはまっていくことなのだと思います。

