福岡県立美術館が、福岡市中央区天神の現在地から大濠公園南側へ移転します。
新しい美術館の名称としては「新福岡県立美術館」と案内されており、2029年度の開館を目指して整備が進められています。
ただ、この話を聞いて少し混乱した人も多いのではないでしょうか。
「大濠公園には、もう福岡市美術館があるよね?」
「2019年にリニューアルしたのはどっち?」
「福岡県立美術館と福岡市美術館は別の施設?」
「場所はどこ?アクセスや駐車場はどうなる?」
「設計は隈研吾さんが関わっているの?」
実際、これはかなり分かりにくい話です。
福岡市美術館は、すでに大濠公園の中にあります。一方、新しい福岡県立美術館は、大濠公園の南側、福岡武道館や日本庭園があるエリアに建設される予定です。
つまり今後、大濠公園周辺には「福岡市美術館」と「福岡県立美術館」という、名前も場所も似て見える2つの公立美術館が近接することになります。
この記事では、新福岡県立美術館の開館時期、場所、アクセス、駐車場、福岡市美術館との違い、隈研吾建築都市設計事務所による設計の注目点、そしてなぜこんなに分かりにくいのかを整理します。
新福岡県立美術館はいつ開館する?
新福岡県立美術館は、2029年度の開館を目指して整備が進められています。
福岡県の公式情報では、令和11年度、つまり2029年度の開館を目指すと案内されています。
また、2026年5月には新しい県立美術館の起工式も行われました。報道では、建物は2029年5月に完成予定で、2029年度中の開館を目指すとされています。
現時点では、具体的な開館日までは発表されていません。
そのため、この記事では「2029年度開館予定」として整理しておきます。
正式な開館日、開館記念展、チケット情報、内覧会などが発表されれば、今後さらに注目されそうです。
新福岡県立美術館の場所はどこ?
新福岡県立美術館の建設予定地は、大濠公園の南側です。
公式サイトでは、「大濠公園の南側、福岡武道館と日本庭園があるところ」と説明されています。
住所としては、福岡市中央区大濠エリア周辺になります。現在の福岡県立美術館がある天神・須崎公園付近から、大濠公園南側へ移転する形です。
かなりざっくり言うと、位置関係は以下のようになります。
現在の福岡県立美術館:天神・須崎公園付近
新福岡県立美術館:大濠公園南側、福岡武道館・日本庭園付近
福岡市美術館:大濠公園の中
ここが、今回いちばん混乱しやすいポイントです。
大濠公園には、すでに福岡市美術館があります。そこへ新しい福岡県立美術館も大濠公園南側にできるため、今後は「大濠の美術館」と言っただけでは、市立美術館なのか県立美術館なのか分かりにくくなる可能性があります。
新福岡県立美術館の場所をGoogleマップで見ると下記のような位置関係になります。
現在の福岡県立美術館はどこにある?
現在の福岡県立美術館は、福岡市中央区天神5丁目2-1にあります。
場所としては、天神北エリア、須崎公園の近くです。福岡市民会館や福岡市民ホール方面に近い場所、と言うと分かりやすいかもしれません。
現在地は天神からも歩ける場所ですが、建物は1964年に建設されたもので、長く福岡県の美術文化を支えてきた一方、老朽化や施設機能の限界が課題になっていました。
福岡県は、建物の広さや機能に限界があることなどを理由に、新しい県立美術館の整備を進めています。
美術館には、展示室だけでなく、作品を安全に保管する収蔵庫、搬入口、温湿度管理、調査研究スペース、教育普及のための部屋、県民ギャラリーなど、さまざまな機能が必要です。
古い建物では、現代の美術館に求められる機能を十分に満たしにくくなっているという事情があります。
新福岡県立美術館へのアクセスは?
新福岡県立美術館はまだ開館前のため、正式なアクセス案内は今後発表されるものと思われます。
ただし、場所が大濠公園南側であることを考えると、最寄り駅としては福岡市地下鉄の大濠公園駅、または六本松駅が候補になりそうです。
周辺施設との位置関係で見ると、福岡市美術館へは地下鉄空港線の大濠公園駅、または地下鉄七隈線の六本松駅から徒歩でアクセスできます。
新福岡県立美術館も大濠公園南側にできるため、同じく地下鉄やバスでのアクセスが中心になりそうです。
現時点で想定される主なアクセス候補は以下です。
・地下鉄空港線「大濠公園駅」方面から徒歩
・地下鉄七隈線「六本松駅」方面から徒歩
・西鉄バスで大濠公園、赤坂、六本松、福岡市美術館方面へ
・車の場合は周辺道路や駐車場の確認が必要
ただし、正式な最寄り駅、徒歩分数、バス停、車でのアクセスルートは、開館が近づいてから公式情報で確認する必要があります。
新福岡県立美術館に駐車場はできる?
駐車場については、現時点では開館後の具体的な運用までは分かりません。
福岡県の基本計画では、新美術館本体の床面積とは別に、地下駐車場を含む面積が示されています。そのため、施設計画上は駐車場機能も想定されていると考えられます。
ただし、開館後に一般来館者がどのように利用できるのか、料金はいくらになるのか、台数はどの程度になるのかなどは、今後の公式発表を確認する必要があります。
大濠公園周辺は、週末やイベント時に混雑しやすいエリアです。
特に福岡市美術館、日本庭園、大濠公園、舞鶴公園、福岡城跡、周辺カフェなどを利用する人が重なると、駐車場は混み合う可能性があります。
そのため、開館後に訪れる場合も、基本的には地下鉄やバスなど公共交通機関の利用を考えておいた方が安心かもしれません。
【補足】
現在の福岡県立美術館には専用駐車場がなく、公共交通機関または近隣の有料駐車場の利用が案内されています。新美術館についても、正式な駐車場情報が出た段階で確認が必要です。
福岡市美術館との違いは?
今回の話が分かりにくい最大の理由は、すでに大濠公園内に福岡市美術館があることです。
福岡市美術館は、福岡市中央区大濠公園1-6にある美術館です。大濠公園の中にあり、前川國男設計の建物としても知られています。
福岡市美術館は2016年から休館して大規模改修を行い、2019年にリニューアルオープンしました。
そのため、多くの人の記憶には、
「大濠公園の美術館って、最近きれいになったよね」
という印象が残っていると思います。
そこに今度は、
「福岡県立美術館も大濠公園へ移転します」
という話が出てきたため、
「リニューアルした美術館とは別なの?」
「今ある大濠の美術館が県立になるの?」
「市立美術館と県立美術館が両方あるの?」
と混乱しやすくなっています。
結論から言うと、福岡市美術館と福岡県立美術館は別の施設です。
違いを簡単にまとめると、以下のようになります。
| 項目 | 福岡市美術館 | 福岡県立美術館 |
|---|---|---|
| 設置主体 | 福岡市 | 福岡県 |
| 現在の場所 | 大濠公園内 | 天神・須崎公園付近 |
| 今後の場所 | 大濠公園内のまま | 大濠公園南側へ移転予定 |
| リニューアル | 2019年にリニューアルオープン | 新美術館として2029年度開館予定 |
| 特徴 | 大濠公園内の市立美術館 | 県域の美術文化を担う県立美術館 |
もちろん、実際には収蔵品や展覧会の方針、県民ギャラリー、教育普及、調査研究など、細かい役割の違いがあります。
ただ、一般利用者にとっては、どちらも「福岡の公立美術館」に見えやすいのも事実です。
しかも、どちらも大濠公園周辺にある。
ここがかなり分かりにくいところです。
「大濠公園に美術館が2つ」になるの?
正確に言うと、福岡市美術館は大濠公園内にあり、新福岡県立美術館は大濠公園南側に建設されます。
つまり、完全に同じ敷地内に2つの美術館が並ぶというより、大濠公園周辺に市立美術館と県立美術館が近接する形です。
ただし、利用者の感覚としては「大濠公園周辺に美術館が2つある」と受け止められる可能性が高いと思います。
これは悪いことばかりではありません。
うまく連携すれば、大濠公園周辺は福岡を代表する文化エリアになります。
福岡市美術館を見る。
新福岡県立美術館を見る。
大濠公園を歩く。
日本庭園に寄る。
周辺のカフェで休む。
舞鶴公園や福岡城跡まで歩く。
こうした回遊が生まれれば、福岡市中心部にありながら、アートと公園を楽しめる魅力的なエリアになります。
一方で、案内が不十分だと、
「どっちの美術館で開催されている展覧会なのか分からない」
「大濠の美術館と言われて間違えた」
「県立と市立の違いが分からない」
という混乱も起きそうです。
企画展の会場を間違えそうな点には注意
個人的に一番起きそうだと思うのが、企画展の会場を間違える問題です。
今後、福岡市美術館と新福岡県立美術館の両方で展覧会が開かれるようになると、ポスターやSNS広告を見て、
「大濠公園の美術館でやっている展覧会」
と思って行ったら、実は別の美術館だった、ということが起きるかもしれません。
特にスマホで展覧会情報を見る場合、
福岡市美術館
福岡県立美術館
の違いは、ぱっと見では見落としやすいです。
会場名はもちろん、地図、最寄り駅、住所まで確認した方が安心です。
開館後は、チケット購入画面や公式サイト、ポスター、SNSなどで、
「会場は福岡市美術館ではありません」
「会場は新福岡県立美術館です」
「大濠公園南側、日本庭園・旧福岡武道館方面です」
といった分かりやすい案内が必要になるかもしれません。
なぜ福岡県立美術館は移転するのか
福岡県立美術館が移転する大きな理由は、現在の建物の老朽化と機能不足です。
現在の福岡県立美術館は、1964年に建設された建物です。前身の福岡県文化会館の時代から、長く福岡県の美術文化を支えてきました。
しかし、建設から長い年月が経ち、建物の広さや機能に限界があるとされています。
現代の美術館には、ただ作品を展示するだけでなく、作品を安全に保存する収蔵庫、調査研究機能、教育普及スペース、県民が使えるギャラリー、交流スペース、カフェやショップなど、さまざまな機能が求められます。
新福岡県立美術館は、こうした機能を備えた新しい施設として整備される予定です。
福岡県の基本計画では、新しい県立美術館のコンセプトとして、
・芸術の可能性を拡げ、挑戦する美術館
・九州・福岡県の文化芸術の発展に貢献する美術館
・県民が親しみ、誇りを育む美術館
・公園と一体となった美術館
といった方向性が示されています。
単に古い建物を建て替えるだけでなく、大濠公園や日本庭園、周辺の文化施設とつながる美術館にしたいという考え方があるようです。
新福岡県立美術館の設計は隈研吾建築都市設計事務所
新福岡県立美術館については、設計を隈研吾建築都市設計事務所が担当している点も注目されています。
福岡県の公式情報でも、新福岡県立美術館の基本設計について、設計者は「株式会社隈研吾建築都市設計事務所」と記載されています。
隈研吾さんといえば、木材や自然素材を活かした建築、周囲の環境と調和する建築で知られる建築家です。新国立競技場の設計に関わった建築家として知っている人も多いかもしれません。
新福岡県立美術館の公式サイトでは、建物は地下1階・地上4階建てとなり、レストランやミュージアムショップ、日本庭園を併設すると説明されています。また、建物の高さを日本庭園に向かって段階的に低くすることで、庭園との一体化や周辺環境との調和を図る設計になっていると紹介されています。
つまり、新しい県立美術館は単に「大きな箱もの施設」として建てられるのではなく、大濠公園や日本庭園とどうつながるかも重視されているようです。
大濠公園周辺は、すでに福岡市美術館や日本庭園、舞鶴公園、福岡城跡などがある文化・歴史エリアです。その中に隈研吾建築都市設計事務所による新しい美術館が加わることで、建物そのものを目的に訪れる人も出てくるかもしれません。
美術館としての展示内容だけでなく、「隈研吾さんの設計による建築を見に行く場所」としても注目される可能性があります。
一方で、話題性があるからこそ、完成後には建築デザインや周辺景観との調和についても注目されそうです。
新福岡県立美術館が、大濠公園や日本庭園とどのようになじむのか。これは開館前から気になるポイントです。
大濠・舞鶴エリアの文化拠点化とも関係している
新福岡県立美術館の大濠移転は、大濠公園・舞鶴公園周辺を文化・歴史・観光の拠点として整備していく流れとも関係しています。
大濠公園周辺には、すでに多くの文化・歴史施設があります。
・大濠公園
・福岡市美術館
・大濠公園日本庭園
・福岡城跡
・舞鶴公園
・鴻臚館跡
・能楽堂周辺
・六本松方面の文化施設
ここに新しい県立美術館が加われば、大濠・舞鶴エリア全体を「文化ゾーン」として打ち出しやすくなります。
行政側から見ると、文化施設を集めることで回遊性を高め、福岡の都市ブランドや観光資源を強化する狙いがあるのだと思います。
一方で、利用者目線では、
「似た名前の美術館が近くにあって分かりにくい」
という印象もあります。
つまり今回の移転は、行政的には合理性がある一方で、一般の人にとっては説明が足りないと混乱しやすい話でもあります。
福岡だけが特殊なの?
県立や市立、国立の文化施設が近くに集まること自体は、全国的に珍しいわけではありません。
たとえば、名古屋には愛知県美術館と名古屋市美術館があります。金沢では石川県立美術館、金沢21世紀美術館、国立工芸館などが兼六園周辺に集まっています。大阪の中之島にも、国立国際美術館や大阪中之島美術館、大阪市立科学館などがあります。
文化施設を集めてエリア全体の魅力を高めるという考え方は、都市政策としてはよくあります。
ただし、福岡の場合は名前がかなり似ています。
福岡市美術館。
福岡県立美術館。
どちらも「福岡」の「公立美術館」で、しかも大濠公園周辺にある。
美術に詳しい人なら役割の違いが分かるかもしれませんが、一般利用者にとってはかなり紛らわしいと思います。
ここが福岡の分かりにくさです。
今後必要なのは「県美」と「市美」の分かりやすい案内
新福岡県立美術館が開館したあと、重要になるのは福岡市美術館との違いをどう分かりやすく伝えるかです。
たとえば、次のような案内があると利用者には親切だと思います。
・市美は大濠公園の中
・県美は大濠公園南側
・市美は2019年にリニューアル済み
・県美は2029年度開館予定の新しい美術館
・県美の設計は隈研吾建築都市設計事務所
・展覧会チケットには会場名を大きく表示
・公式サイトやSNSで地図を分かりやすく表示
・地下鉄駅やバス停からの案内を整備
・両館をまとめた「大濠アートエリア」マップを作成
・共通パスや相互割引などの連携
美術館が近くにあること自体は、決して悪いことではありません。
むしろ、うまく連携できれば、大濠公園周辺は福岡の新しい文化散歩コースになります。
問題は、利用者が迷わず楽しめる情報設計ができるかどうかです。
まとめ:新福岡県立美術館は2029年度開館予定。市美との違いに注意
新福岡県立美術館は、2029年度の開館を目指して、大濠公園南側に整備が進められています。
場所は、福岡武道館や大濠公園日本庭園があるエリアです。
一方、福岡市美術館はすでに大濠公園内にあり、2019年にリニューアルオープンしています。
そのため今後は、大濠公園周辺に、
・福岡市美術館
・新福岡県立美術館
という2つの公立美術館が近接することになります。
また、新福岡県立美術館は隈研吾建築都市設計事務所が設計を担当している点でも注目されています。大濠公園や日本庭園とどのように調和する建築になるのか、建物そのものにも関心が集まりそうです。
これは、福岡の文化エリアとしては大きな魅力になる可能性があります。
ただし、名前も場所も似ているため、展覧会の会場やアクセスを間違えやすい点には注意が必要です。
開館が近づけば、正式な開館日、アクセス、駐車場、展示内容、開館記念イベントなどの情報も出てくるはずです。
今後、新福岡県立美術館が福岡市美術館や大濠公園、日本庭園、舞鶴公園とどのように連携していくのか。
単に「美術館がもう一つできる」という話ではなく、大濠公園周辺が福岡を代表する文化エリアとしてどう変わっていくのかにも注目したいところです。
参考リンク
・新福岡県立美術館が大濠公園にできるまで
https://2029.fukuoka-kenbi.jp/
・新福岡県立美術館整備事業について|福岡県
https://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/shinkenbi-seibijigyou.html
・新福岡県立美術館基本設計について|福岡県
https://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/shinkenbi-kihonsekkei.html
・「新福岡県立美術館基本計画」を策定しました|福岡県
https://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/shinkenbi-sakutei13.html
・福岡県立美術館 公式サイト
https://fukuoka-kenbi.jp/
・福岡市美術館 公式サイト
https://www.fukuoka-art-museum.jp/
