福岡・天神で進む大規模なまちづくり「天神ビッグバン」。ONE FUKUOKA BLDG.(ワンビル)をはじめ新しいビルが次々と開業し、「もう天神ビッグバンは終わるの?」「2026年までという話ではなかった?」と気になっている人も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、天神ビッグバンは2026年で完全に終了するわけではありません。
福岡市は2026年末を「一つの区切り」としていますが、2026年3月末時点で85棟が竣工し、2026年末までに約90棟、さらに2030年代までに約120棟の建替えが予定されています。
2026年9月現在も、旧イムズ跡の「天神大樹」や福岡PARCO・新天町を含む天神二丁目南ブロック、福岡中央郵便局・イオンショッパーズ福岡地区など、これから大きく動く再開発が残っています。
天神ビッグバンはいつまで?2026年で終わる?
「天神ビッグバンは2026年まで」と紹介されることがありますが、2026年末は天神の建替えがすべて終わる期限ではありません。
福岡市は、2026年末に天神ビッグバンが「一つの区切り」を迎えると説明しています。一方で、建替えそのものは2030年代まで続く見込みです。
| 時点 | 天神ビッグバンの進捗 |
|---|---|
| 2015年2月 | 天神ビッグバン始動 |
| 2026年3月末 | 85棟が竣工 |
| 2026年末 | 約90棟の建替えを予定 |
| 2030年代 | 約120棟の建替えを予定 |
つまり、「2026年末=天神ビッグバン終了」ではなく、大きな節目を迎えたあとも天神の更新は続くと考えるのが分かりやすいでしょう。
なお、この85棟・約90棟・約120棟という数字は、天神ビッグバンエリア内で進む建替え全体の竣工・建替え予定棟数です。後ほど紹介する「11プロジェクト」は、最新の経済波及効果を算出する際に対象となった主要プロジェクトで、同じ数字ではありません。
天神ビッグバンは現在どこまで進んでいる?
すでに天神の景色は大きく変わっています。
天神ビジネスセンター、福岡大名ガーデンシティ、ヒューリックスクエア福岡天神、ONE FUKUOKA BLDG.、天神ブリッククロスなどが完成し、2026年には天神ビジネスセンターⅡも開業しました。
一方、旧イムズ跡の天神大樹や福岡PARCO・新天町を含む街区などは、これから完成するプロジェクトです。
天神ビッグバンは現在、「主要施設が次々と完成する段階」から「次の大型街区再開発へ移る段階」に入ったといえます。
そもそも天神ビッグバンとは?
天神ビッグバンは、福岡市が2015年2月に始動した都心部のまちづくりプロジェクトです。
対象は天神交差点を中心とした半径約500m、約80haのエリア。航空法による建物の高さ制限の緩和や、福岡市独自の容積率緩和制度などを活用し、建替えを促進しています。
目的は単に「古いビルを高層ビルへ建て替える」ことではありません。
- 老朽化した建物を耐震性の高い建物へ更新する
- 高機能なオフィスを増やす
- 企業誘致や雇用創出につなげる
- 商業・ホテルなど都市機能を充実させる
- 広場や歩行者空間を整備する
- 緑化や文化芸術の機能を取り入れる
- 地上・地下の回遊性を高める
安全性、都市機能、経済活動、公共空間をまとめて更新していくプロジェクトです。
2026年現在の完成・開業済み主要施設
天神ビッグバンを象徴する主要施設は、すでにかなり出そろっています。
| 施設 | 竣工・開業 | 主な用途 | 現在 |
|---|---|---|---|
| 天神ビジネスセンター | 2021年9月竣工 | オフィス・商業など | 完成・稼働中 |
| 福岡大名ガーデンシティ | 2023年3月竣工 | ホテル・オフィス・商業・スタートアップ支援など | 完成・稼働中 |
| ヒューリックスクエア福岡天神 | 2024年12月竣工 | ホテル・オフィス・商業 | 完成・稼働中 |
| ONE FUKUOKA BLDG. | 2024年12月竣工・2025年4月24日開業 | 商業・オフィス・ホテルなど | 開業済み |
| 天神ブリッククロス | 2025年4月竣工 | オフィス・商業 | 完成・稼働中 |
| 天神住友生命FJビジネスセンター | 2025年6月竣工 | オフィス・商業など | 完成・稼働中 |
| 天神ビジネスセンターⅡ | 2026年6月30日竣工・8月4日開業 | オフィス・商業・創業支援・ワーカー支援 | 開業済み |
ここから先は、1棟単位の建替えだけではなく、PARCO・新天町などを含む複数街区の大規模な再開発も大きな焦点になります。
これから完成・建て替えが進む主な再開発
天神大樹|旧イムズ跡は2027年5月末竣工予定
イムズ跡地で建設中の大型複合ビルは、2026年8月に正式名称が「天神大樹(TENJIN TAIJU)」と発表されました。
地上21階・地下4階、高さ約91mで、オフィス、ホテル、店舗などが入る計画。2027年5月末の竣工が予定されています。
天神大樹の開業時期やテナント、エースホテルなどの最新情報はこちらの記事で詳しく紹介しています。
名称の読み方や「なぜ天神大樹という名前なのか」が気になる場合は、「天神大樹」の名前・読み方・由来の記事もあわせてご覧ください。
福岡PARCO・新天町|次の大型フェーズへ
今後の天神で特に大きな動きになるのが、福岡PARCOと新天町を含む天神二丁目南ブロック・駅前東西街区です。
福岡PARCOは2027年2月末で営業を終了する予定。その後、東街区では地上22階・地下4階、高さ約110m、延床面積約14万1,000㎡の複合施設を整備する計画が具体化しています。
商業、オフィス、ホテル、文化・情報発信機能、ライブハウスなどを組み合わせる計画で、2027年3月以降に解体へ入り、パルコ街区は2031年末ごろの竣工が予定されています。
ただし、2031年末ごろというのは現時点での竣工予定で、新しい商業施設の全面開業日や「福岡PARCO」として再出店することが決まったわけではありません。
福岡PARCOの閉店時期や跡地、最新の東街区計画はこちらで詳しく解説しています。
新天町は完全になくなるのではなく、一時移転して建て替える計画です。2027年3月にはソラリアステージの一部に仮店舗が設けられる予定で、店舗ごとに営業休止日や移転先、再開時期が異なります。
新天町の営業や一時移転、仮店舗、建て替えについてはこちらの記事で追っています。
天神一丁目15・16番街区
天神一丁目15・16番街区も、天神ビッグバンの今後を担うプロジェクトの一つです。
福岡市の最新資料では、経済波及効果を推計した主要11プロジェクトにも含まれています。ただし、現時点では将来計画の段階にあるため、施設名称やテナント、具体的な完成時期など、正式発表されていない内容を断定することはできません。
福岡中央郵便局・イオンショッパーズ福岡地区
天神北側では、福岡中央郵便局とイオンショッパーズ福岡を段階的に建て替える計画もあります。
2022年に発表された事業者の計画では、第一段階の福岡中央郵便局を2030年ごろ、第二段階のイオンショッパーズ福岡を2030年代中頃に竣工させることが目標として示されました。
ただし、これらは確定した竣工日ではありません。事業者自身も今後の検討や協議によって変更される可能性があるとしているため、現時点では「目標時期」として見る必要があります。
天神ビッグバンの主要11プロジェクト一覧
2026年に公表された最新の経済波及効果は、天神に存在するすべての建物ではなく、認定済みの8施設と、認定に向けて検討されている3プロジェクトの計11プロジェクトが全面開業した場合を対象にしています。
| プロジェクト | 2026年9月時点 |
|---|---|
| 天神ビジネスセンター | 完成・稼働中 |
| 福岡大名ガーデンシティ | 完成・稼働中 |
| ヒューリックスクエア福岡天神 | 完成・稼働中 |
| ONE FUKUOKA BLDG. | 開業済み |
| 天神ブリッククロス | 完成・稼働中 |
| 天神住友生命FJビジネスセンター | 完成・稼働中 |
| 天神大樹 | 建設中・2027年5月末竣工予定 |
| 天神ビジネスセンターⅡ | 2026年8月開業済み |
| 天神二丁目南ブロック・駅前東西街区 | 計画進行中 |
| 天神一丁目15・16番街区 | 計画中 |
| 福岡中央郵便局・イオンショッパーズ福岡地区 | 段階的建替えを検討 |
なお、経済波及効果の推計が公表された2026年4月時点では、天神大樹は「(仮称)天神1-7計画」という名称でした。その後、2026年8月に現在の正式名称が発表されています。
ONE FUKUOKA BLDG.(ワンビル)は天神の大きな転換点
天神ビッグバンの変化を実感しやすい施設の一つが、2025年4月24日に開業したONE FUKUOKA BLDG.、通称「ワンビル」です。
福岡ビル、天神コア、天神ビブレなどがあった一帯の再開発で、商業施設だけではなく、オフィス、ホテル、カンファレンス、文化・交流機能などを組み合わせた複合施設となりました。
かつて天神を代表した複数の施設が一つの大型複合ビルへ変わったことは、「古いビルを一棟ずつ更新する」という段階から、天神の街そのものを再構成する段階へ進んだことを象徴しています。
天神ビジネスセンターⅡは2026年8月に開業
2026年に新たに加わった主要施設が、天神ビジネスセンターⅡです。
2026年6月30日に竣工し、8月4日に開業しました。オフィスや商業機能に加え、創業支援やワーカー支援機能も備えています。
大型書店のジュンク堂書店が天神へ本格復帰したことでも注目されました。
天神ビッグバンが目指しているのはオフィス面積を増やすだけではなく、働く人や新しい事業を支える機能まで街の中へ組み込むことだと分かる施設です。
天神ビッグバンの経済効果は約1兆8,900億円
2026年、福岡アジア都市研究所は天神ビッグバンの最新の経済波及効果を公表しました。
| 項目 | 最新推計 |
|---|---|
| 経済活動による波及効果 | 約1兆8,900億円 |
| 建設投資による波及効果 | 約6,300億円 |
| 経済活動による雇用効果 | 約5万9,000人 |
詳細な推計値では、経済活動による波及効果が1兆8,943億円、建設投資による波及効果が6,301億円、雇用効果が5万9,550人となっています。
ここで注意したいのが、「福岡市が毎年1兆8,900億円を得る」という意味ではないことです。
建設投資による約6,300億円は、ビルなどを建設するときに一度発生する経済波及効果です。
一方、経済活動による約1兆8,900億円は、11プロジェクトが全面開業した場合に、入居する企業や店舗などの事業活動によって生じる売上高の純増分をもとに推計された経済波及効果です。
両者は性質が違うため、単純に足して「天神ビッグバンの総額」と考えない方がよいでしょう。
なぜ経済効果が以前より大きくなった?
天神ビッグバンが始まった2015年当初の試算では、経済活動による波及効果は約8,466億円、建設投資による波及効果は約2,921億円とされていました。
今回の推計では経済活動による効果が約1兆8,943億円となり、大幅に増えています。
ただし、単純に「天神の価値が2倍以上になった」という意味ではありません。
プロジェクト開始後に建替えの規模や対象となる床面積が拡大したことに加え、社会経済情勢も変化しています。2026年の推計では最新のデータを使い、現在進んでいる11プロジェクトが全面開業した場合を改めて計算しています。
当初試算と最新推計では前提条件が異なるため、数字だけを単純比較するのではなく、天神の再開発そのものが当初の想定より大きくなったと見るのが適切です。
天神ビッグバンで街はどう変わる?
完成したビルだけを見ると「天神に高層ビルが増えた」という印象が強いかもしれません。しかし、福岡市が進めているのは建物の高さだけの変化ではありません。
耐震性の高い建物への更新、オフィス床の拡大、商業施設やホテルの整備、企業誘致、スタートアップ支援などに加え、広場、緑化、歩行者空間、文化芸術、地上と地下をつなぐ動線整備なども同時に進められています。
2026年には因幡町通りの歩行者専用道路も開通するなど、ビルの中だけではなく、ビルとビルの間をどう歩くかという部分も変化しています。
天神ビッグバンは「新しい建物を増やす計画」というより、天神で働く、買い物をする、泊まる、歩くという街の使い方そのものを更新するプロジェクトと考えると分かりやすいでしょう。
天神ビッグバンボーナスとは?
建替えを後押ししている仕組みの一つが「天神ビッグバンボーナス」です。
福岡市が魅力あるデザイン性に優れたビルを認定し、一定の条件を満たす建替え計画に容積率緩和などのインセンティブを付与します。
単に高いビルを建てれば対象になるわけではなく、公開空地や周辺との連続性、緑化、ユニバーサルデザインなど、街全体の質を高める取り組みも重視されています。
福岡空港に近い天神と高さ制限
福岡市中心部は福岡空港から近く、航空法によって建物の高さが制限されてきました。
国家戦略特区を活用した高さ制限の特例承認や、福岡市独自の容積率緩和制度が進んだことで、従来より大規模な建替えがしやすくなりました。
これが、短期間に天神の建替えが進んだ大きな背景の一つです。
天神ビッグバンと博多コネクティッドの違い
福岡市では「天神ビッグバン」と並んで「博多コネクティッド」という名称もよく見かけます。
| 天神ビッグバン | 博多コネクティッド | |
|---|---|---|
| 中心 | 天神交差点周辺 | 博多駅周辺 |
| 対象範囲 | 半径約500m・約80ha | 博多駅を中心とした半径約500m・約80ha |
| 主な狙い | 建替え、都市機能、公共空間などの更新 | 建替えと交通基盤・歩行者ネットワークなどの強化 |
どちらも福岡市中心部を更新する大規模なまちづくりですが、対象となる場所は別です。
天神ビッグバンのよくある質問
天神ビッグバンはいつまでですか?
2026年末が一つの区切りですが、建替えそのものは2030年代まで続く予定です。福岡市は2030年代までに約120棟の建替えを見込んでいます。
天神ビッグバンはもう終わったのですか?
終わっていません。2026年9月現在も天神大樹が建設中で、PARCO・新天町街区や福岡中央郵便局・イオン地区など、将来の大型プロジェクトが残っています。
現在は何棟完成していますか?
福岡市によると、2026年3月末時点で85棟が竣工しています。
2026年末までに何棟になりますか?
約90棟の建替えが予定されています。
最終的には何棟建て替わりますか?
2030年代までに約120棟が建て替わる予定です。
天神ビッグバンで何ができましたか?
天神ビジネスセンター、福岡大名ガーデンシティ、ONE FUKUOKA BLDG.、天神ブリッククロス、天神ビジネスセンターⅡなどが完成・開業しています。
これから何ができますか?
旧イムズ跡の天神大樹、福岡PARCO・新天町を含む天神二丁目南ブロック・駅前東西街区、福岡中央郵便局・イオンショッパーズ福岡地区などの計画があります。
天神ビッグバンの経済効果はいくらですか?
2026年の最新推計では、11プロジェクト全面開業時の経済活動による波及効果は約1兆8,900億円、建設投資による波及効果は約6,300億円、雇用効果は約5万9,000人です。
福岡PARCOの再開発も天神ビッグバンに含まれますか?
福岡PARCO・新天町街区を含む「天神二丁目南ブロック・駅前東西街区」は、最新の経済波及効果を算出した11プロジェクトの一つに含まれています。
2026年の区切り後も天神の再開発は続く
ONE FUKUOKA BLDG.や天神ビジネスセンターⅡまで完成し、天神ビッグバンはかなり進んだように見えます。
それでも、2026年末はゴールではありません。
旧イムズ跡の天神大樹、福岡PARCOと新天町の大規模再開発、福岡中央郵便局・イオンショッパーズ福岡地区など、2030年代へ向けたプロジェクトが続きます。
今後は、新しいビルが「何棟できるか」だけでなく、PARCO・新天町など長く親しまれた場所がどのように次の天神へ引き継がれるのかも大きな注目点になりそうです。

